ジャズ・エイジ
中上哲夫詩集
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発行者による作品情報
中上さんにとってジャズとはなんだろう。中上さんに聞いたことがないからこれから先はぼくの推測だが、この詩集を読みながら、ふと、レイモンド・カーヴァーの短編小説『ささやかだけれど、役にたつこと』のことをおもいだした。子どもを交通事故でなくした夫婦にパン屋は、ちゃんと生きていかなければならないが、それにはものを食べることだ。それはささやかなことだが、生きていくことの助けになる、と、そういうようなことを言う一篇だ。
単純な言い換えをするなら、中上さんにとってジャズとは、ちゃんと生きていかなければならないが、それにはジャズを聴くことだ。それはささやかなことだが、生きていくことの助けになる、ということになるだろう。
この一冊にはそのささやかなエピソードが中上さんのやさしい視点でたくさん書かれている。好きなことに向かいあうとき、あるいは、同好者のことをおもうとき、人はとても幸せな気分になる。「胸がわくわくする」のだ。この一冊はそういう中上さんのわくわく感を楽しめればいい、とおもう。