ジーンブライド(1)【電子限定特典付】

APPLE BOOKSのレビュー

世の中の不条理に絶望しながらも戦い続ける主人公と、イレギュラーな事態が苦手でパニックを起こしがちな元同級生。女性の生きづらさを描きながら、2人が通っていた学校の秘密に迫る社会派ミステリー。諫早依知はライターとして働く日々の中で、度重なるセクハラや露出魔との遭遇など、女性であるが故の不条理に絶望していた。そんなある日、彼女の前に現れた元同級生だと名乗る男性、正木蒔人。マイペースだが潔癖＆徹底主義者、何事もうやむやにできない性格から、依知を女性としての色眼鏡で見ることもなく、極端なほど真っすぐに対応する彼の態度に依知は少しずつ心を開いていく。個性の強い2人の関係性とフェミニズムの問題提起を描いていくかと思いきや、物語の節々に現れる伏線、そして1巻の終わりで大きな謎を読者に投げかける展開に、続きが気になってしまう。言葉選びも秀逸で、心に深く残るセリフが多い。