スチーム・ガール
-
-
5.0 • 1件の評価
-
-
- ¥1,300
-
- ¥1,300
発行者による作品情報
飛行船が行き交い、甲冑型の巨大な蒸気機械が闊歩する港町ラピッド・シティ。天涯孤独の身であるカレンは、ゴールドラッシュに沸くこの町の高級娼館で“縫い子”として働いている。そんなある晩、町の有力者バントルに追われる少女プリヤが、モンシェリに飛びこんでくる。カレンはプリヤに強く惹かれ、彼女を守ろうとするが、バントルは怪しい機械を操ってプリヤを狙う。さらに、町には娼婦を狙う連続殺人鬼の影も……。カレンは蒸気駆動の甲冑機械を身にまとい、娼館の女たちと共に立ち上がる! ヒューゴー賞作家が放つ傑作スチームパンクSF。
APPLE BOOKSのレビュー
ヒューゴー賞を受賞したアメリカのSF作家エリザベス・ベアによる冒険小説「スチーム・ガール」。飛行船や蒸気自動車を移動手段に、ゴールドラッシュで活気あふれる港町―というスチームパンク小説らしい舞台設定が光る。主人公のカレンは、親を失い高級娼館で働く15歳の少女。ある夜、悪環境の娼館を営む町の有力者の元から逃げ出してきた少女プリヤを救出、ここから彼女の活躍が始まる。威厳に満ちた娼館のマダム、蒸気駆動の機械を作る女性科学者、肉体的には男性だが心は女性の同僚、連続殺人犯を追いかける美丈夫な副保安官など、個性的なキャラクターが多数登場するのも魅力的。一見平凡な女の子が、大好きな人のために精一杯の勇気と行動力を持って奮闘する様子は、小気味よく爽快。敵との戦いで、カレンが馬の調教師をしていた亡き父に教わったとおり、うまく駿馬を駆るシーンには胸が躍る。過去を思わせる設定にもかかわらず、さまざまな文化を持った人々が共に生きるという多文化社会の側面を持たせることで、現代的な側面を盛り込んでいることにも注目したい冒険活劇の秀作。