ゾウがやってきた
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- ¥1,700
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発行者による作品情報
ゾウを飼うことになったらどうする?
宝くじを当てて莫大なお金を手にした老人ジオは広大な土地に一人で暮らしていた。
ある日、偶然であった少女シラのために、サーカスのゾウを買い取って庭で育てることになる。
「こんな大きな動物、はじめてみた」
ドーナツ店のだだっ広い駐車場で、シラはゾウのヴェーダと出会った。
これは運命だ!
広大な土地に高い塀を築き、大きなゾウを飼うのは、とても大変なことでもあり、わくわくすることでもあった。
奇想天外な設定の痛快エンターテインメント。
APPLE BOOKSのレビュー
映画監督、脚本家、プロデューサー、そして小説家と、マルチな活躍を続けるアメリカの作家ホリー・ゴールドバーグ・スローンによる本作は、人間と動物の共生や家族の絆について考えさせられる児童書。アメリカで父親と暮らす少女、シラ。移民手続きを完了させるためにトルコに旅立った母親とは、離れ離れの生活が続いている。彼女はとあるきっかけで、宝くじを当てて大金持ちになった老人のジオと出会う。ジオはシラのためにサーカスからヴェーダという名のゾウを買い取り、自分の庭で一緒に育てることにするのだった。母と会えずに孤独を深めていたシラも、人生に目的を見いだせずにいたジオも、幾つものハプニングを乗り越えてヴェーダを育て、慈しむことによって、自分たちもまた救われていく。動物と触れ合い、命を預かる責任が芽生え、そのことが彼女たちの人生にポジティブな影響を与えていく様が、生き生きと描かれていて感動的だ。ワクワクするような冒険と遊び心に満ちたストーリーテリングでありながら、移民問題や動物倫理のようなシリアスなテーマも内包する本作は、子供から大人まで多くの人々の心を打つ普遍的な物語だといえるだろう。結末であふれ出す希望も美しい。