トルクワートー・タッソー
-
- ¥300
-
- ¥300
Publisher Description
(この本について)
この本は、ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ作、實吉(さねよし)捷郎(はやお)訳の、韻文劇「トルクワートー・タッソー(Torquato Tasso)」です。
十六世紀イタリアの詩人で廷臣であったトルクァート・タッソー(1544―1595)とその狂気への様を描いています。フェラーラの公爵アルフォンス二世の離宮ベルリガルドで起きた一日の出来事が物語られます。
この劇の執筆は1780年にワイマールで始まりましたが、大部分はゲーテがイタリアに滞在していた1786年から1788年の間に執筆され、1790年に完成しました。
ゲーテはこの作品について、後年次のように語っています。(いずれも「ゲーテとの対話」(エッカーマン)よりの引用)
「『タッソー』の主要な点は、」とゲーテは言った。「人はいつまでも子供ではいられないし、立派な社会との交わりなしではやっていけないのだということだよ。立派な家庭に生まれ、適度な知識と豊かな感情と、いっそう身分の高い完全な人々との交際から生ずるような充分な外的教養とを持った青年には『タッソー』は難しくはないだろう」……
話は『タッソー』と、その中でゲーテがどういう理念を表現しようとしたかという問題に移った。
「理念だって、」とゲーテは言った。「そんなものは知らない。タッソーの生活があり、私自身の生活があった。それぞれ特色あるこの二つの奇異な人物を混合して、私の心中にタッソーの姿が生じたのだ。タッソーに散文的対比としてアントニオを配した。このモデルも私は持っていた。その他の宮廷や生活や恋愛等の関係では、結局ワイマールもフェラーラも変わりはなかった。だから、私の描写を私の骨肉だと言ってもいいだろう」……