



ドイル傑作集 ボクシング編
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4.0 • 2件の評価
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- ¥330
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発行者による作品情報
傲岸で不潔な巨漢と若いアポロのような医学生との凄絶十六ラウンドの苦闘を描く「クロクスリの王者」、毒花のような奥方が演出する血の復讐「ファルコンブリッジ公」、ロンドン社交界の茶番劇「バリモア公の失脚」、荒武者の暴虐を語る「旅団長の罪」、妖気漂う「ブローカスの暴れん坊」の5編、血湧き肉躍る拳闘物語である。
APPLE BOOKSのレビュー
イギリスの文豪アーサー・コナン・ドイルの短編集「ドイル傑作集 ボクシング編」。戦争を控え、スポーツに興じる義勇農騎兵の姿を描く「ブローカスの暴れん坊」、若き二世ボクサーが美しい女性の復讐劇に巻き込まれる「ファルコンブリッジ公」など、ボクシングがテーマとなる5編の短編が収められている。本作では血と汗が流れる激しい格闘の世界が描かれ、クールで知的なイメージを持つドイルの新たな一面に出会える。「クロクスリの王者」では、貧しい医学生が診療所を訪れた乱暴な抗夫を殴り倒したことから、抗夫同士の試合に出場することに。学費を手に入れるため、戦歴のない若者がわずか1週間のトレーニングでボクシングチャンピオンと対峙する流れは、少年マンガの成長物語を彷彿させ、気分を高揚させる。試合に至るまでの主人公の心理描写、闘いの話題で持ち切りとなった町の様子、荒々しい鉱夫たちが詰めかけた試合会場の熱気などもドイルは丹念に語り、最高潮の見せ場となる闘いのシーンへと物語を導く。カタルシスに満ちたドイル流の格闘物語を堪能してほしい。