ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方
-
-
3.7 • 9 Ratings
-
-
- ¥1,400
-
- ¥1,400
Publisher Description
仕事も、ほしい物も、自分でつくるのは面白い。
「ビジネス」でも「ワーク」でもなく、「趣味」でもない。DIY・複業・お裾分けを駆使した「ナリワイ」をつくり、現代社会を痛快に生きる方法論。
個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのでなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身に付く仕事をナリワイ(生業)と定義。具体的なナリワイのタネを生活の中から見つけ、1つ1つを自分の小規模な自営業として機能させ、それらを組み合わせていくことで、「働くこと」と「自分の生活」を近づけることを目指す著者の、人生を使ってつくった渾身の「たたき台」。
ポストグローバリゼーション時代の滋味溢れる働き方がここに。
非バトルタイプのためのゆるやかな作戦!
Customer Reviews
楽しくリスクヘッジすることの大切さ
あまりによかったので思わずはじめてレビュー。
著者はナリワイという概念を「自力でつくれて人間に無理のないサイズで、やれば頭と体が鍛えられて、ついでに仲間ができる仕事」と説明しており、そのナリワイを通して世の中を捉え直そうと試みている。著者のそのまなざしは常に喜びや嬉しさにあふれたもので、全くマッチョさがない。非常に好感をもった。
著者は分業化が極端に進んだ現代の社会で、自分の身の回りのこと(料理や栽培などから家づくりまで)すら満足にできない人々が多いことに不安を抱いている。そこで日常に潜む問題を独自の着眼点(「そもそも」思考法)で切り出し、その矛盾をつくことによってナリワイとして報酬を得ることができるのではないかと考えている。もちろん著者はこのナリワイの経済的な意味における脆弱性(つまりは稼ぎが悪いこと)を充分に認識している。ナリワイで楽しく食べていくために著者が必要とするのが、日常の生活を見直して本来お金をかける必要のない箇所にお金を使いすぎていないかを点検すること、そして個人が複数のナリワイを展開することである。
現代の日本のように、大多数の人々が「社会人」となり、組織に属してたった一つの仕事に従事している景色は「常識」であったが、その「常識」が案外脆いものであり、それが崩れ去ろうとしている昨今にどのように振る舞うべきかというひとつの標に、本書はなっていると感じた。(もちろんそのような「常識」に従って経済成長を追い求めるバトルタイプの人の存在も著者は充分に認識している。You go your way and I'll go mineの精神がそこにはある。)
現代社会の行き先に漠然とした不安を感じている人や、都会を離れて田舎暮らしをしたい人、仲間と何か面白いことをやりたいと考えている人にオススメ。
ちなみに本書に登場する引用もなかなか楽しいラインアップで、宮本常一や網野善彦といったゴリゴリの人文研究者から漫画ハンターハンターまでをさらりと引いてみせる。痛快。