ノイズ【noise】 1
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発行者による作品情報
のどかな田園風景が広がる猪狩町では、黒イチジクを地域の特産として、限界集落から一転、活況を呈し始めた。そんな中、イチジク農園を営む泉圭太のもとに鈴木睦雄と名乗る怪しい言動の男が現れる。彼は14年前に女子大生ストーカー殺人を犯した元受刑者だった。平穏な地域社会に投げ込まれた異物が生んだ小さな波紋(ノイズ)が、徐々に広がっていく――…!!
APPLE BOOKSのレビュー
招かれざる訪問者によって生じたトラブルを発端に、崩れ始めた人生を挽回しようともがく者の姿が描かれる、サスペンス満点の作品。主人公の泉圭太は、黒イチジクを特産品として、過疎が進んでいた猪狩町に活気を取り戻すことに成功していた。しかし、そんなところへ凶悪犯罪者だった男が姿を現したことから、事態は思わぬ方向へ…。保身のため、一つうそをついてしまったことから、それを隠し通すためにうそを重ね続けなければならない状況に陥る恐怖。じわじわと神経を削るような展開が、ページをめくる指を震わせる。先に映画化された『予告犯』をはじめ、社会派の作風で知られる筒井哲也が、再び人間の闇に切り込んだ秀作。