パパラギ はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビの演説集
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4.5 • 2件の評価
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発行者による作品情報
現代社会に警鐘を鳴らす歴史的名著。南海の酋長ツイアビは、はじめてパパラギ(=白人)たちの「文明社会」に触れた驚きを、島の人々に語って聞かせる。お金、時間、都会、機械、情報、物欲……。その内容は、深い洞察と知恵、素朴にして痛烈な啓示に満ちた文明批評として、今なお輝きを失っていない。豊かさを追い求めてモノと時間を切り刻み、無辺の闇にたどり着いてしまった私たちが、今こそ真摯に受け止めるべきメッセージ。
カスタマーレビュー
初めてパパラギを目にしたのは1980年3月11日沖縄に向かう船の中だった。何気なく手にした本だったけれど、そこに語られている言葉に心が震えた。
1996年1月18日の日記にこんな記述がある。
「前もらったパパラギはどうも私にあわなくて、読み出したものは最後まで読む信条だから読んだけど、なんで中村さんがこの本をそんなにいいと思うのかどうもよく分からなかった」と言われてしまった。そういえば多くの友達にプレゼントしたけれども、感想を聞いたのは初めてだった。みんなどんなふうに感じたのだろう。あんなに素敵な本なのに、僕は目から鱗が落ちる思いがしたのに。・・・
友人の反応にがっかりした。はじめて文明を見た南海の酋長ツイアビが同胞に伝えようとしたことは、ユーモラスで可笑しいけれど、耳の痛いお説教だ。誰もが同じように感じるはずも無く。ましてや内容は文明批判。人それぞれ信ずることが違う。なのにそんなことも気付かず大勢の人にこの本をプレゼントしてしまった。余計なお世話だった。
改めて読み返すと、初めて読んだ頃の気持ちが蘇って来る。ミヒャエルエンデの「モモ」に通じるものがある。お説教くさいけれど大いに心に響いてくる。こういうのが私は好きなんだと今更に思う。40年前に感じたことが今も同じように感じられるということは、ここで語られた警告が何も役立っていないということでもある。もうかれこれ100年も前に出版されているから、100年経っても変わらないということらしい。このパパラギに大いに影響を受けたと思っていた。そもそも感銘を受けた物語には大いに影響を受け人生が変わるとさえ思ってきたけれど。実は大して変わりはしなかったのだということを、こうして長い年月をかけて振り返り思い知らされた。