ビジョナリー・キャリ‪ア‬

「コヴィー博士の集中講義シリーズ」は、コヴィー博士のあらゆる著作から、現在のビジネス・パーソンの方々の課題に応えることができるよう、テーマ(セルフ・リーダーシップ、コミュニケーション、チームを導くリーダーシップ、タイム・マネジメント、プロジェクト・マネジメント、信頼構築、Win - Winセールス、キャリア・デザインなど)毎に内容を厳選し編纂したものです。本シリーズによって、皆様の知識としてだけではなく、パラダイム、行動に変化をもたらし、より良い結果という果実を少しでも掴んでいただきたいと思います。



本書『ビジョナリー・キャリア』はコヴィー博士とジェニファー・コロシモの共著『グレー ト・キャリア』をベースに、『第8の習慣』などのエッセンスを凝縮しています。本書の役割は、誰でもが凡庸な人生に別れを告げ、ビジネスはもとより家庭や社会においても偉大な人生を歩むことができることをお伝えすることにあります。どのような状況で暮らしているどんな人であっても、偉大な人生を送ることができるのです。



本書にはフランクリン・コヴィー社のチーフ・ラーニング・オフィサーであるジェニファー・コロシモの教えが多く含まれています。コロシモは第一線の社員からCEOまで、あらゆる組織階層を対象にパフォーマンスの改善方法を指導し、多くのビジネス・パーソンにビジョナリー・キャリアへの道を支援してきました。



偉大な人生を送るには、偉大なキャリア(ビジョナリー・キャリア)を築くことから始まります。あなたは偉大なキャリアを夢見ているでしょうか。それとも、今のキャリアを「偉大」と思っているでしょうか。



リタイアして自分の人生を振り返ったとき、それは、賞賛される肩書きを得たキャリア、一芸に秀でて名声を得たキャリア、あるいは独自の貢献を果たした偉大なキャリアのいずれでしょうか。また、その判断はどのようにするつもりでしょうか。さらに、あなたは自分自身の偉大なキャリアを、どのように築いていくつもりでしょうか。



偉大なキャリアを築き、偉大な人生を送るにはビジョンが必要となります。ビジョンとは、 コヴィー博士によれば、「人やプロジェクト、大義や意図の中に、何ができるかという可能性を知性によって知る」ことができるものです。



ビジョンというとき、「世の中」で何ができるかと考えるだけでは充分ではありません。人の中にどのような可能性を見いだせるか、彼らの秘められた潜在能力を見抜けるかという点も重要です。



ビジョンとは単に何かをやること、何らかの課題を達成し、何かを実現することだけではありません。他人に対する新たな見方を発見し、広げ、その人々を肯定し、信じることでもあります。そして彼らがそれぞれの潜在能力を発見し自覚できるよう手助けをすること、つまりそれぞれのボイス(独自の貢献)を発見できるように力を貸すことです。



ボイス:独自の貢献はコヴィー博士が『第8の習慣』の中で紹介しているものであり、「才能」:天賦の才、強さ、「情熱」:あなたを自然に活気づけ、ワクワクさせ、モチベーションを与え、奮起させるもの、「ニーズ」:あなたの生活を成り立たせるために、世界が必要としているものも含む、そして「良心」:平静なる内面の小さな声、何が正しいかを確信させてくれ、 あなたをそのとおりに行動させるものから成り立っています。



あなたの才能を生かし、情熱に火をつけてくれるような仕事に取り組むことができれば、あなたの周囲の人を含めた社会のニーズに応えることができます。そして、その仕事があなたの良心にかなうとき、そこにこそあなたの使命、魂の規範とも言えるボイス(独自の貢献)が響いているのです。



私たちは誰でも、人生の中で自分のボイスを見いだしたいと願っています。それは言葉にできないほど強い切望であり、誰もが生を受けたそのときから感じているものです。使命感のあるビジョンとボイスを発見することで、これから偉大なキャリアを築き、偉大な人生の道を歩み出されることを願ってやみません。