プリズン・ブック・クラブ――コリンズ・ベイ刑務所読書会の一年
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1.0 • 1件の評価
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
カナダの刑務所で月に1度開かれる読書会。ボランティアとして関わったジャーナリストが見た、囚人たちの変化とは重罪犯を収容するカナダのコリンズ・ベイ刑務所で定期的に開かれる読書会。
『怒りの葡萄』『またの名をグレイス』…刑務所内での本をかこんでのやりとりを通して囚人たちは読書の楽しみを知り、自らの喪失感や怒り、罪の意識について吐露し、人種や宗教の壁を越え、異なる意見の持ち主の話にも耳を傾けるようになった。
1年間ボランティアとして運営に関わったジャーナリストが見た、囚人たちの変化とは。
胸に迫るノンフィクション。
APPLE BOOKSのレビュー
刑務所に服役中の囚人によって毎月開かれる読書会の運営にボランティアとして1年間関わった、カナダ人ジャーナリストの体験記。本を手にした入れ墨だらけの男たちと、ニュース雑誌記者の女性。読書の喜びを知る受刑者と、先入観を覆される著者の交流が胸を打つ。カナダのコリンズ・ベイ刑務所で読書会を主催している友人のキャロルから誘われた著者は、2011年から12年にかけてボランティアとして読書会に参加する。彼女はかつて自宅前の路上で強盗被害に遭って気絶した経験があり、そのトラウマに悩んできたため、刑務所に立ち入ることに抵抗があったが、読書を通じて受刑者たちと対談を重ねるうち、彼らの入れ墨の意味を知るほど心を通わせる。取り上げられる本はさまざまで、『ガーンジー島の読書会』『ガラスの城の子どもたち』『怒りの葡萄』『またの名をグレイス』など、戦争や虐待、貧困や精神疾患といった決して軽くはないテーマを扱うものが多いが、自らの複雑な体験を投影した受刑者たちの意見は鋭い。読書とは、一人で読む楽しみもあるが、外界と通じる窓の役割もあり、異なる読み方を共有することもできるものだ。通して読めばビブリオバトルの側面もあり、本好きにはたまらない。