プリニウスと怪物たち
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4.0 • 1件の評価
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発行者による作品情報
古代ローマの大博物学者プリニウスが書いた『博物誌』は当時の世界の見聞を収めた大事典として名高いが、なかでも火とかげサラマンドラや海坊主、大山猫など幻想的な動物たちが面白い!新アンソロジー。
APPLE BOOKSのレビュー
ローマ帝国の博物学者プリニウスの「博物誌」を紐解きながら、伝説上の怪物にまつわるエッセイを綴った「プリニウスと怪物たち」。著者の澁澤龍彦は東大仏文科卒のフランス文学者であり、サディズムの語源となったマルキ・ド・サドの翻訳などで知られる人物。その博覧強記ぶりは本書でも存分に発揮され、「博物誌」のみならずギリシャ神話や中国古代史など古今東西の文献を引用しつつ、怪物に関するエピソードを織り込んでいく。サラマンドラ、ケンタウロス、メデューサなど、現在ではゲームなどでもその名を目にする怪物たちだが、ヨーロッパ中世では未開の地に潜むミステリアスな存在として多くの人を魅了し、学者たちも怪物の生態について論証していたという。当時は東洋と西洋の交通が頻繁に行われていなかったこともあり、人々は見聞録や旅行記を手がかりに想像の翼を広げていたのだ。そうした時代背景の解説とともに、富豪たちがこぞって購入した一角獣の角の正体、ミノタウロスを産むためクレタ島の女王が取った秘策など、恐ろしい見た目の怪物が持つ意外な一面を知ることができる1冊。当時描かれた怪物の挿絵も多く収録されており、昔の人々の豊かな想像力に触れるのも楽しい。