ボブがくれた世界 ぼくらの小さな冒‪険‬

「ボブという名のストリートキャット」の続編です。当時33歳を迎えるジェームズと親友の茶トラのボブがいかにして本の出版とサイン会というセカンドチャンスを掴み、路上での過酷な仕事から解き放たれ、自分たちを生活の上位へと押し上げていくかが綴られています。巻き起こる様々な出来事は善と悪との両方あって、人間不信に陥るほどの悪意を受けるシーンもありますが、ジェームズとボブは互いに相手を護ろうと全力を尽くします。そして二人の冒険物語は当人たちもビックリな大勝利をおさめます。１冊目もぽろっと涙しましたが、２冊目の本書ではご両親とのくだりで涙が止まりませんでした。大柄なジェームズが涙を流し、ご両親との間にあった何かが氷解していったような場面は深く心を打ちました。３冊目が翻訳される事を願ってやみません。１冊目同様、何度も読み返したい本のひとつです。

猫と共に生きてきた私にとって共感点の多いお話でした。猫はそっけない生き物のイメージが強いですが、飼い主をいつも見守り寄り添ってくれる良きパートナーです。この本は、気遣う気持ち、前向きな姿勢を取り戻してくれる一冊だと思います。