ポリフォニック・イリュージョン 初期作品+批評集成
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- ¥1,900
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発行者による作品情報
日本SF大賞史上初となる二度の大賞受賞を果たした、現代日本SF最高峰作家の初期作品&評論集。著者自ら封印してきたデビュー作「ポリフォニック・イリュージョン」他5作、ついに解禁。
APPLE BOOKSのレビュー
寡作ながら発表作品は日本SF大賞や星雲賞などを受賞し、国内の現代SFを代表する作家として知られる飛浩隆の作品集「ポリフォニック・イリュージョン 初期作品+批評集成」。デビュー作となる表題作をはじめ、長らくの断筆期間に入る直前まで雑誌に発表された貴重な作品群、本人の筆による自著解説、さらには著者の真骨頂ともいうべき鋭い分析眼が光る批評を収録している。人工的に作られた生命体との共同生活、"星窓"というガジェットが巻き起こす神秘体験といったストーリーに共通するのは、現実が崩壊していくスペクタクルという後年の作品にも現れるモチーフ。小説家・飛浩隆のエッセンスが形作られていく過程が分かるとともに、「象られた力」や「ラギッド・ガール 廃園の天使II」といった以降の代表作を読解する上でのさまざまなヒントが詰まっている。ユーモアを文章の端々に盛り込みながら、創作物に全身全霊で向き合っていく態度が強く現れた評論の数々も秀逸で、優れた批評家としての一面も確かめることができる。自身による作品解説では、スティーブン・キングからの影響や、アイデアが生まれた経緯、掲載に至るまでのこぼれ話などのエピソードが満載。飛の世界観を深く理解する一助となる一冊。