リアル 1

APPLE BOOKSのレビュー

井上雄彦が車いすバスケットボールをテーマに、障がいと向き合う選手たちや、夢に向かって進む青年を描いた『リアル』。戸川清春は骨肉腫で右膝関節から下の足を切断した。彼は車いすバスケットボールと出会い、「東京タイガース」のエースとして新たな道を進む毎日。野宮朋美はバイクで交通事故を起こし、ナンパした女の子、山下夏美を下半身不髄にしてしまう。罪の意識から高校を退学するが、戸川との出会いから再びバスケットボールの夢に一歩踏み出す。野宮のバスケットボール部の同級生、高橋久信は交通事故で脊髄を損傷し下半身不髄に。現実が受け入れられずどん底の日々を送っている。戸川、野宮、高橋、3人の主人公たちが向き合う三者三様のリアル。芸術的なまでに美しく、圧倒的な画力によって描かれる、失ったものを取り戻そうともがきながらもたくましく生きる彼らの物語は涙なしでは読めない。また一つ井上雄彦による歴史に残る作品が生まれたと思える作品だ。