リボルバー・リリー
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- ¥1,200
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発行者による作品情報
小曽根百合――実業家・水野寛蔵の下、幣原機関で訓練を受け、16歳で実地任務に投入。東アジアを中心に3年間で57人の殺害に関与し、各国大使館から「最も排除すべき日本人」と呼ばれた美しき諜報員。20歳で消息を絶った彼女だが、消えた陸軍資金の鍵を握る少年・細見慎太との出会いによって、再び戦場へ。百合と慎太を追うのは陸軍の精鋭部隊。関東大震災後の帝都を生き抜く先に、終息の地は待っているのか。
APPLE BOOKSのレビュー
長浦京のハードボイルド/冒険小説作家としての評価を決定づけた長編アクション。関東大震災直後の東京を舞台に、美貌の銃の名手と13歳の少年が陸軍と死闘を繰り広げる。大正13年8月、細見慎太は父の欣也を東京に残し、埼玉県秩父で名前を偽って暮らしていたが、突然現れた父に封筒を託される。父は陸軍と結託した榛名作戦で得た莫大(ばくだい)な資金を横領していたのだ。追ってきた男たちに父も家族も惨殺され、逃亡を余儀なくされた慎太は、近くでニホンオオカミと暮らす筒井国松という老人から小曽根百合を頼るよう指示される。かつて日本領台湾の特務機関で訓練を受け、57人の殺害に関与した凄腕の諜報員で、ある出来事から娼家(しょうか)が並ぶ玉の井の銘酒屋の女将となった百合。守るべき者と出会った彼女が挑んだ決死の逃避行の行く末は。1,000人の陸軍兵と闘うクライマックスをはじめ、生死を懸けた策略やハードなアクションもすさまじいが、消えた資金を巡り、陸海軍や内務省やヤクザが入り乱れる、混乱した時代の謀略小説としても見事。山本五十六や当時の銀座など、実在の人物や風景の描写も鮮やかだ。