レナードの朝〔新版〕
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2.0 • 1件の評価
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- ¥1,400
発行者による作品情報
20世紀初頭に大流行した脳炎の後遺症で、言葉や感情、体の自由が奪われてしまった患者が、奇跡の新薬L-DOPAの投与によって目覚める。 しかし体の機能回復に加え、人格まで変貌してしまうという怖い副作用が……。 レナードら20人の症例とそれに誠実に向き合う脳神経科医サックス博士の葛藤を、人間味あふれる筆致で描く。1970年代の初版以降、演劇や映画化でも世界を感動させた不朽の名作の新版文庫化。
APPLE BOOKSのレビュー
『妻を帽子とまちがえた男』『火星の人類学者』の著作でも知られる、脳神経科医オリヴァー・サックス博士が、嗜眠性脳炎患者の治療に挑む自らの体験をつづった感動の医療ノンフィクション。第一次世界大戦後から約10年間流行した嗜眠性脳炎。眠り病とも呼ばれたこの難病により、多くの患者が数十年も眠りから覚めることなく半睡状態に陥り、回復後も重い後遺症として体の震えや筋肉の硬直を伴うパーキンソン症候群を発症した。身じろぎもせず言葉も発しない患者たちは、新薬L-DOPAの投与により奇跡的に“目覚める”が、やがて心身ともに制御不能な状況を迎えてしまう…。レナードを含め20人の患者の症例を記した本書は、医学的な分析に加え、患者の人生に関する物語を描き出していく。一つ一つの話が驚きに満ちていて、同じ話は2つとしてなく、その症状は誰一人として同じではない。患者を非人間的な対象物として見るのでも、主観的に見て自己を投影するのでもなく、医師として共感をもって患者と向き合う著者の情熱が生み出した、不朽の名著。ロバート・デ・ニーロとロビン・ウィリアムズの主演で映画化もされた。