三‪体‬

APPLE BOOKSのレビュー

中国国内をはじめ世界中でベストセラーを記録し、翻訳小説として、またアジア圏の作品として初となるヒューゴー賞を受賞した長編SF小説「三体」三部作の第一部。文化大革命時に目前で父を惨殺された天体物理学者の葉文潔（イエ・ウェンジエ)。その後、内モンゴルの建設兵団で開墾事業に従事していた文潔は、ある日無実の罪に問われ、その贖罪にと「レーダー峰」と呼ばれる軍事基地で行われている最高機密レベルの研究プロジェクトに誘われる。そこでは地球外生命体との交信を目指す通称「紅岸プロジェクト」が秘密裏に行われていた。それから数十年の時が流れ、ナノテク素材の研究者・汪淼（ワン・ミャオ）はエリート科学者たちの相次ぐ自殺を知らされる。その謎を解くため、「科学フロンティア」と呼ばれる学術組織への潜入を引き受けた彼を怪現象が襲う。2つの謎を追う汪淼が出会ったのは「三体」と呼ばれるVRゲームだった。異星世界とのファーストコンタクトをテーマに描いた本格SF小説で、その壮大なスケールと膨大な知識量、エンターテインメント性の高さに圧倒されること間違いなし。