不道徳な見えざる手
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
経済とは、釣り師とカモの永遠の闘いである!
ノーベル賞受賞経済学者コンビによる、『アニマル・スピリット』の続編。
アダム・スミス「見えざる手」への盲目的な信仰を壊すパワフルな一冊。
賢明で誠実なあの人が、なぜたやすくだまされるのか?
なぜ、不道徳なふるまいをしてしまうのか?
自由市場はすばらしいという「虚構」を明らかにする事例の数々。
すべてのビジネスパーソンに読んで欲しい、本当はこんなに恐い自由市場の話。
●本書の主な主張
・経済システムはごまかしだらけで、みんなもそれを理解するべきだ
・競争市場は、革新的なビジネスヒーローのやる気を引出し報いるのに長けている
・その一方で、誠実とは言い難い行動を促す圧力も奨励されてしまう
・人々は驚くほどしょっちゅうカモとして釣られている
・カモ釣りは、いたるところに存在している
・私たちの「肩の上のサル」は、私たちに深刻な影響を与える
・悪いのは釣り師ではない。釣られる人々でもない。カモ釣りをうながすシステムだ
・結婚式や住宅購入など、特別な買い物はカモ釣りの絶好の機会だ
・最悪の不景気をいくつも招いた最大の原因は、金融市場でのカモ釣りだ
・健康にとって有害な医薬がいまだに後を絶たない理由もカモ釣りだ
・政治(選挙)は最も単純な釣りを起こしがちだ
・カモ釣りとがんには類似性がある
・経済学者の市場理解には問題がある
APPLE BOOKSのレビュー
ノーベル経済学賞を受賞したアメリカの経済学者、ジョージ・A・アカロフとロバート・J・シラーによる、現代経済を読み解く指南書「不道徳な見えざる手」。1930年にイギリスの経済学者ケインズが100年後を予測して示唆したように、自由市場により生活が豊かになった半面、人々はお金の工面に追われていると彼らは主張する。自由市場には多くの誘惑があり、生活者がそれに乗せられる仕組みが存在するからだという論旨は明快だ。自動車や住宅の購入に高い金額が提示される理由や、日々の暮らしに潜んでいる生活者の弱みにつけこむ手口が具体的に紹介され、読者に多くの気付きを与えてくれる。実際の住宅購入ローンから掛け離れてしまったサブプライム住宅ローンの成り立ちから、2008年のリーマンショックが起きた理由を解説するなど、金融市場の論述もわかりやすいので、経済学に明るくない人でも読みやすい。本書ではアメリカの事例を挙げているが、示された内容は自由市場を持つどの国にも当てはまる。なぜ人々は誘惑されて消費をするのかという視点から、現代を見直すきっかけになる一冊。