世界はシンプルなほど正しい~「オッカムの剃刀」はいかに今日の科学をつくったか~
-
-
3.3 • 3件の評価
-
-
- ¥2,800
-
- ¥2,800
発行者による作品情報
よりシンプルな答えこそ好ましく、往々にしてそれは正しい――複雑さや冗長さを容赦なく削ぎ落とすさまから、提唱者にちなんで「オッカムの剃刀」と呼ばれるこの思考の方針は、科学を宗教の支配から解放し、地動説、量子力学、DNAの発見など、多くの科学的偉業を支えることとなった。本書は科学の発展史を辿りつつ、単純さこそが、宇宙や生命の誕生といった深遠な謎を解き明かす鍵であることを示す壮大な試みである。
APPLE BOOKSのレビュー
英国サリー大学の分子生物学教授である著者が、余分な複雑さをそぎ落とす「オッカムの剃刀」の有用性を説く科学書。「不必要に要素を増やしてはならない」「少数の事柄でなしえることを多数の事柄でおこなうのは無益である」。14世紀のフランシスコ会修道士、オッカム村のウィリアムが提唱し、自身を死に追いやったペストの猛威をも乗り越え、300年後に「オッカムの剃刀」と名付けられた考えが、今日までの科学にいかに影響を与えたのか。ウンベルト・エーコの『薔薇の名前』の主人公、バスカヴィルのウィリアムのモデル(ただし作中では彼の“友人”とされている)ともいわれるオッカムのウィリアムは、普遍とは単に名前として存在するもので実在するものではないとする唯名論を唱え、神学から科学を切り離した。著者はコペルニクスやケプラー、ボイルやニュートン、ダーウィンやメンデル、アインシュタインなど、偉大な科学者たちが、天文学、物理学、熱力学、進化論、相対性理論で見つけた答えを検証し、現代科学がどのような思想に支えられてきたかを解き明かす。よりシンプルな答えが好ましく、複雑な理論よりも単純な理論の方が正しいという原理原則を知る、画期的な科学書。