他者の靴を履く アナーキック・エンパシーのすすめ
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- ¥800
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発行者による作品情報
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の大人の続編本!
「自分が生きやすい」社会に必要なのものとは?
感情的な共感の「シンパシー」ではなく、
意見の異なる相手を理解する知的能力の「エンパシー」。
この概念を心理学、社会学、哲学など様々な学術的分野の研究から繙く。
うまく活用するために、自治・自立し相互扶助のアナキズムを提唱。
新しい思想の地平に立つ刺激的な一冊。
他者はあまりに遠い。“共感”だけではたどり着けない。
ジャンプするために、全力で「考える」知的興奮の書!
――東畑開人
※この電子書籍は2021年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
APPLE BOOKSのレビュー
多様性の時代といわれながらも、自分と他者の違いを受け入れる難しさがある故に、さまざまな面で分断が生じたのがコロナ禍の日々だった。本作は、そんな今こそ“エンパシー”が必要だと訴えかける。エンパシーとは他人の気持ちや人生、生活を想像し、理解すること。それはより感情的なシンパシー=“共感”よりも一歩踏み込んだ思考のプロセスといえる。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でも大きな話題を呼んだブレイディみかこによる本作の切り口は、経済から政治、教育、ジェンダーと多岐にわたる。また、イギリスで長年生活し、人種、階級、文化などのギャップに一つ一つ向き合ってきた筆者ならではの、説得力のある言葉でつづられている。特に、危ういほどのシンパシーの増幅と反動を生み出す場と化しているSNSにまつわるエンパシーの言及は、私たちが日々身に染みて感じていることだろう。筆者が本作で提唱するもう一つのイズムである“アナーキック”とは、誰にも譲れない確固たる自分を持つことだ。分断を超え、“私”と“あなた”が共に自分自身として生きるための処方箋、それがアナーキック・エンパシーなのかもしれない。