



信仰
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4.2 • 6件の評価
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- ¥1,300
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発行者による作品情報
世界中の読者を熱狂させる、村田沙耶香の最新短篇&エッセイ
「なあ、俺と、新しくカルト始めない?」
好きな言葉は「原価いくら?」で、
現実こそが正しいのだと、強く信じている永岡。
同級生から、カルト商法を始めようと誘われた彼女は――。
信じることの危うさと切実さに痺れる8篇。
〈その他収録作〉
★生存
65歳の時点で生きている可能性を数値化した、
「生存率」が何よりも重要視されるようになった未来の日本。
生存率「C」の私は、とうとう「野人」になることを決めた。
★書かなかった小説
「だいたいルンバと同じくらいの便利さ」という友達の一言に後押しされて、クローンを4体買うことにした。
自分を夏子Aとし、クローンたちを夏子B、C、D、Eと呼ぶことにする。
そして5人の夏子たちの生活が始まった。
★最後の展覧会
とある概念を持つ星を探して、1億年近く旅を続けてきたK。
彼が最後に辿り着いた星に残っていたのは、1体のロボットだけだった。
Kはロボットと「テンランカイ」を開くことにする。
ほか全8篇。
APPLE BOOKSのレビュー
日常と非日常、ファンタジーと極限状態、この世界ではありえないようなユートピアのようなディストピアのような話でありながら、どことなく現実味を帯びている不思議な物語の断片がつづられた短編集『信仰』。『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香が切り取る世界は現代社会への違和感だ。カルト信仰の教祖となった友人にだまされたいと願う“現実”に取りつかれた女性が主人公の「信仰」、生存率に支配された世界の行方を描いた「生存」、自分のクローンを4体買って、クローンたちと同居を始める「書かなかった小説」、人間が滅びた未来の宇宙で“ゲージュツ”という人間が愛した概念を“テンランカイ”で開催しようとしたKとロボットの物語「最後の展覧会」。それぞれの物語はつながっているわけではないのに、なぜか一つの物語のようにも感じられる。それは、既存の価値観を打ち破っていくような突き抜けた発想力とユーモアが、すべての物語の底に広がっているからかもしれない。