僕が伝えたかったこと、古川享のパソコン秘史
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2.7 • 3件の評価
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発行者による作品情報
本書は、古川享がアスキーに入社した頃のパソコン黎明期から、マイクロソフトの日本法人であるマイクロソフト株式会社設立の過程、MS-DOSから現在のWindowsに至るパソコンのOS(基本ソフト)がデファクトスタンダードになる過程、日本のパソコンの標準マシンであったNECの98シリーズが一時代を築き、その後、世界標準のDOS/Vマシンに移行する過程など、パソコンの進化の激動の時代を中心に、それぞれの時代の様々な現場で何が起こっていたのか、そこで輝いていた人たちの知られざる活躍を語ったものです。
【目次】
(抜粋)
■アスターインターナショナルでのアルバイト
■秋葉原、マイコンショップという文化の発祥地
■手作りだったヒット本『BASIC Computer Games』
■仕事2割、遊び8割、そこから様々なソフトウェアが生まれた
■世界初のラップトップコンピュータM100開発秘話
■日本の初代パソコン代表機PC-8001の試作機
■PC-98の陰になったPC-100の悲哀
■DOS/Vが標準になったパソコンの一番長い日
■辛くも勝利、PC-98搭載BASICのライセンス攻防戦
■UNIXの日本語化
■日本のパソコン史の金字塔、シフトJIS誕生の舞台裏
■マイクロソフトが作って売ったApple ⅡのZ-80ソフトカード
■CP/MとMS-DOS、運命の分かれ道
■ビル・ゲイツがWindowsの開発を決意した瞬間
特別寄稿:
・イノベーター達は秋葉原で出会った(檜山竹生)
・NEC-BASIC vs マイクロソフトBASICの舞台裏(吉崎武)
・MSX参加せず、PCエンジン誕生(後藤富雄)
・古川さんとNAVI(服部清幸)
・MSXのお話(山下良蔵)
ほか
カスタマーレビュー
自由闊達さを伝える
アスキーという場に集った人々が当時を語ってくださった重要な一歩。
『アスキー 新人類企業の誕生』(文藝春秋)が外から当事者に取材して企業を描いたものだとすれば、本書は当事者の方々が、その一人でもある古川氏のまなざしを借りて、当時の出来事を語り始めたものだといえる。Googleの上をゆく「仕事は20%、遊びが80%!」という企業文化がはるか30年前から日本にあったということを再確認できる。
1970年代後半から80年代へとかけて、今日に続く様々な物事の原型のようなものが登場し、本書に出てくる人々はまさにイノベーター/アーリーアダプター層だった。本書自体は過去のことを語ってはいるのだけれども、著者が伝えたいことはもちろん個別の正確な歴史や記憶ではない。好きなものに向かって自由にアプローチしていく楽しさであり、そこに日本的な真面目さやデザインセンスを掛け合わせたとき生まれるものの凄さについてではないかと思う。
インターネットが普及して、小さなコミュニティの共存状態が普通になった今では、求心力によって何か一つの場を維持するといったことは難しくなっている。その目まぐるしさの中で当時のアスキーのような場が再現されるということはないとしても、自由闊達さを持ち寄ることは容易になっているし、いくつかの物事は日本から発信されて世界に影響を与えている。著者は、そういうことがもっともっと起こるように本書を通して次の世代を応援している。
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本書の意義を大いに賛同しつつ、過去の様々な事柄を読み通すためのガイドを「用語解説」「人物紹介」からもう一歩踏み出して工夫していただきたいので★4としました。