僕が死ぬだけの百物語(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

少年が“百物語”を一話ずつ語る、背筋が凍るオムニバスホラー『僕が死ぬだけの百物語』。交通事故に遭った恋人がおどろおどろしい姿でつきまとう「つれびと」、自分が欲しいと思ったものが宅配ポストに届く「宅配済み」、生命線の短い男女が結婚した後の混乱を描く「生命線」、仲直りをしようとした友人の異常な姿を見る「喧嘩」、自殺をしようとした生徒を助けた教師が見た地獄絵図「あの世」など。昭和の空気をまとったグロテスクな絵柄がさらに恐ろしさを助長する。誰かの日常に起こったおぞましい物語が影のように迫ってくる。心霊、人間の怨念、奇妙な出来事、それらはさまざまな“恐怖”が詰まった開けてはいけない箱のよう…。