党生活者
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Publisher Description
『党生活者』は、日本のプロレタリア文学の代表的な作家、小説家である小林多喜二の小説。この作品で、近代的軍需工場の計画的な争議を、地下生活者としての体験を通して描いたもので、主人公の共産主義的人間としての内面性が濃密に表現されているとして最晩年の代表作となっている。
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風吹けば名無し14
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プロレタリアの非情な生活に思いを馳せる。
プロレタリア思想を身に纏った主人公たちが、自身の思想を同僚に喧伝し、ストライキを起こさせようと画策する小説。
過程では、主人公と懇意にしている女性が登場する。彼女は初めは主人公の思想に同調し協力をするが、それにより社会から少しずつ切り離されていく。思想とカルトはこの点において似ているのかもしれない。
彼女は次第に主人公に好意を寄せる(ことを匂わせる描写がある)が、主人公はそれを無視をし、自身の思想を貫いていく。
好意を喜捨し、人生を賭して思想の完遂を求める姿には一種の感動すら覚えるが、同時に犠牲となる女性への同情を禁じ得ない。
並々ならぬ覚悟の前には自身やその周りにいる人は一抹の躊躇いにすらならないのだろう。
やはり、この点においてプロレタリアとファシズムは似ているのかもしれない。