分析哲学講義 分析哲学講義

分析哲学講‪義‬

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Publisher Description

フレーゲとラッセルの論理学研究に始まり、クワイン、ウィトゲンシュタインらの活躍を経て、現在では哲学の全領域に浸透した分析哲学。言語や概念の分析を通じて世界を捉えるその手法は幅広い。哲学史上の優れた議論を素材に、その先を自ら考えるための一冊。「道具」としての分析哲学を伝える、珠玉の入門講義。

GENRE
Nonfiction
RELEASED
2012
February 6
LANGUAGE
JA
Japanese
LENGTH
222
Pages
PUBLISHER
筑摩書房
SELLER
Mobilebook.jp, Inc
SIZE
746.5
KB

Customer Reviews

ゆづ村長 ,

全9回の分析哲学講義

第1講義では、分析哲学は観念論からの言語論的転回を経て誕生し、言語の分析による世界の理解をその基本的信念とすることや、分析哲学史に重要であるクワインがカルナップなどの論理実証主義者から影響を受けており、彼らに対する批判がクワインの理論を飛躍させていることが述べられる。続く講義では、意味のイメージ説/指示対象説やラッセルの確定記述が述語論理に翻訳可能であることが紹介され、クワインの名句「存在するとは変項の値になることだ」が挿入される。存在者を量化するのではなく、量化されるから存在するという命題こそが言語論的転回である。
フレーゲの『算術の基礎』によれば、関数とその変項の値が概念と対象に対応する。論理実証主義によれば、命題の意味とは検証条件である。観察の理論負荷性やデュエム/クワイン・テーゼなど科学哲学に重要な概念も述べられる。
第5講義では、規則と意味の逆説性と哲学の自然主義化、第6講義ではキャロルの逆説と行動主義、第7章では様相実在論が述べられる。第8章と第9章はそれぞれ心の哲学と時間の哲学に関する話題であり、チャーチランドの消去主義やマクタガートの時間の非実在性の証明について触れている。ダメットによれば、「実在するものには、それについての完全な、観察者から独立した描写がある」という見解が「時間のなかに存在するものは、状況依存的な表現(「今」などの語)なしに完全な描写をすることはできない」という見解と対立することにより、時間が存在しないことが証明されたとされる。
本書末尾の「おわりに」の記述からは、筆者が自由意志の問題が時間哲学の議論に還元されることを示唆しているように読める。これは筆者(青山拓央氏)が時間哲学の専門家だからかもしれない。大学の講義において、最終回に近づくほど科目担当者の研究内容の成分が濃くなっていくことはありがちである。
文献紹介も付いているため、分析哲学に入門する足掛かりとして良いだろう。

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