創造的進化
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- ¥1,500
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発行者による作品情報
生命は、「生の弾み“エラン・ヴィタル”」を起爆力として、不断の変形を重ねてきた。目的的ではなく、多様な方向に自由な分岐を繰り返す生命の進化の過程―それはわれわれの意識にも通じるものである。時間、意識、身体、記憶―超越論的存在を直観的把握によって解明しようとしてきたベルクソンが、さらに生命の根源へと思索を深める。刊行するや全世界で反響を呼び、生命概念を刷新するとともに、ベルクソンの名を高めることとなった主著。ちくま学芸文庫版オリジナル新訳。
APPLE BOOKSのレビュー
20世紀以降の哲学や思想に多大な影響を与え、1927年にノーベル文学賞を受賞したフランスの哲学者アンリ・ベルクソンが、生物の進化という根源的な生命現象と正面から向き合った「創造的進化」。常に同時代の科学を批判的に検討し、独自の思想を構築したベルクソンは、本作でもダーウィン以降に芽生えたさまざまな進化論に見解を述べ、生物が進化していく過程に関する仮説を"弾み"という概念を用いつつ、生き生きとした解釈で提示している。そして彼の思索は、生物の進化の過程を俯瞰するだけでは終わらず、彼の真骨頂とも言える形而上学的考察を駆使し、古代ギリシャから続く哲学的問題、つまり、私たちの存在そのものを問い直していく。深遠なテーマを扱った作品であるが、難解な用語を避け日常的な言葉や比喩が使われていて読者が具体的なイメージを持ちやすい。ベルクソンによる思想の集大成ともいえるテキストであり、近年再評価が進む彼の代表作。