十二歳の合い言葉
-
-
5.0 • 1 Rating
-
-
- ¥720
-
- ¥720
Publisher Description
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
かおり、菜々、梢。ちょっとドライでたくましく、そのくせどこかセンチで複雑な十二歳の少女たち。みずみずしい青春を描いた名作。
Customer Reviews
んやい
,
みずみずしい文体に今更ながら驚いた!
もう40年近く前になるでしょうか。そうなのだ、かく言う私ももうすぐ12歳、と言う年齢だったのだ。
当時、北海道の地方都市に住んでいた私は、翌年の春、東京に転校することを控えて、それを学校の友達に誰も言えず、一人苦しい胸の内を抱えていた。勉強もできた。そう、ちょっと「かおり」に似ていた。勿論、美人でもないし、「お父様」なんて呼ぶような家庭でもなかったけど、私は妙にかおり視点で本を読んでいた。残念ながら、周りには菜々や梢に相当する子はいなかったけど、私は心の中で勝手に梢と菜々を空想しては、「合言葉は……」なんて誰もいない図書室とかで、一人ゴニョゴニョ口に出しては悦に入っているような子だった。憧れていたのだ。菜々に。梢に。そしてかおるに。
あの年齢特有の毎日が無敵状態でキラキラしている日々は、大人になって初めてわかるのである。もう二度と戻ってこない黄金の日々だったと。そして、いつか仕事をして、日仕事に恋に疲れ、やがて生活に疲れ、自分の人生なんてもうイヤ!ってなる。
そんな時、電子書籍でこの本を再度。もっと子供向けの本と思っていたけど、文体のみずみずしさは、王道の青春小説。登場人物や心象風景の描写が。とても新人26歳の作家と思えない程しっかりしている。今の児童文学はよく知らないけど、こんなに質の高い児童文学はあるのだろうか?
書籍での再販を是非のぞみます。