原則中心タイム・マネジメン‪ト‬

「コヴィー博士の集中講義シリーズ」は、コヴィー博士のあらゆる著作から、現在のビジネス・パーソンの方々の課題に応えることができるよう、テーマ(セルフ・リーダーシップ、コミュニケーション、チームを導くリーダーシップ、タイム・マネジメント、プロジェクト・マネジメント、信頼構築、Win - Winセールス、キャリア・デザインなど)毎に内容を厳選し編纂したものです。本シリーズによって、皆様の知識としてだけではなく、パラダイム、行動に変化をもたらし、より良い結果という果実を少しでも掴んでいただきたいと思います。



本書『原則中心タイム・マネジメント』は、長きにわたって時間管理を探究してきたコヴィー博士の時間管理に関する内容を一冊に凝縮したものです。米国の政治家ベンジャミン・フランクリンが「人生を大切にしたいなら時間を無駄遣いしてはいけない。人生は時間によってできている」と言ったように、人生は時間の使い方で大きく左右されます。人生とは、タイム・マネジメントそのものと言っても過言ではありません。これこそが、タイム・マネジメントを行う真の理由です。



コヴィー博士は「タイム・マネジメントの本質を一言で言うなら「優先順位をつけ、それを実行する」ことに尽きると話しています。そしてこの一言は、タイム・マネジメントのこれまで三つの世代(本文参照)の進化過程を言い表しています。タイム・マネジメントには多種多様なアプローチやツールがありますが、いずれもが、優先すべきことをどのようにして実行するかをポイントにしています。



一つはっきりしているのは、今までと同じようにやり続ければ、今得ている以上のものは得られないということです。「同じことをやり続けて、違う結果を期待する」ことはできないのです。タイム・マネジメントが答えを出してくれるなら、もうすでに人生に大きな変化が生まれているはずです。ところが、人生の質を巡る不満や不安の声は、タイム・マネジメントのトレーニングを受けていない人だけでなく、高度なトレーニングを受けている人たちからも聞かれます。



こうした不満は、現在主流になっている、目標設定と優先順位づけを行う第三世代の考え方やツールの限界です。そこで、コヴィー博士は第三世代の限界を超えた第四世代のタイム・マネジメントを提唱します。第一世代、第二世代、第三世代の長所を全部持っていて、短所は全部なくし、さらに多くの長所を備えた新しい第四世代は根本的に異なるパラダイムとアプローチに基づいたタイム・マネジメントです。



必要なのは改革ではありません。変革です。時間を管理するのではなく、自分の人生のリーダーとなるためのシステム、充実した人生を創造する第四世代のパラダイムが必要なのです。 第四世代のツールは、効率性よりも原則に基づいています。そして、自分自身を効率よく動かすのではなく、自分自身が効果的に生きることが何よりも重要であるという認識に立っています。



それは原則を理解し、原則を中心に置いて生活できるようになり、目的と価値観が明確なかたちで示され、それに従って日々の決断を下せるようになります。そして、バランスのとれた人生を生きることができます。充実した人生をつくる力は、私たち自身の中にあります。選択の瞬間に誠実に行動できるように心の中のコンパスを磨き、駆使する能力が、充実した人生をつくるのです。



一週間の計画を立てるときも、緊急事態に対処するときも、良心の声を聴くときも、人間関係を築くときも、難しい顧客に対応するときも、散歩するときも、どんな瞬間にも誠実に行動できることが重要なのです。効果的なツールであるためには、使う人が真北の原則が支配する現実と心の中のコンパスが指す方向を合わせる能力を高められるものでなければなりません。 第四世代のタイム・マネジメントを活用して、あなたの人生が良い方向に変わることを願っています。