囿者は懼れず 1‪巻‬

APPLE BOOKSのレビュー

転生した勇者が「正義」を貫く本格ファンタジー。1,000年に1度の勇者に憧れ、優秀な剣士となったエリザヴェータは、女性であるが故の偏見と嫉妬に苦しんでいた。ライバルの謀略で無惨に殺された彼女は、義の女神によって勇者に選ばれ転生。魔導士たちと魔王討伐の旅に出る。クールな主人公リザ（エリザヴェータ）の姿に胸が熱くなる話題作。男社会の過酷さにあらがいながら非情さを身につけたリザの変貌ぶり、女神や国家から漂う不穏な思惑など、英雄譚を覆していくダークな展開にずしりとした読み応えがある。悲劇も容赦なく描かれるからこそ、リザと魔導士メイの友情は癒やしとなる。美しく躍動する線で描かれる物語を楽しみつつ、「正義」とは何かを考えさせられるだろう。