塞王の楯
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- ¥2,200
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発行者による作品情報
越前・一乗谷城は織田信長に落とされた。幼き匡介(きょうすけ)はその際に父母と妹を喪い、逃げる途中に石垣職人の源斎(げんさい)に助けられる。匡介は源斎を頭目とする穴太衆(あのうしゅう)(=石垣作りの職人集団)の飛田屋で育てられ、やがて後継者と目されるようになる。匡介は絶対に破られない「最強の楯」である石垣を作れば、戦を無くせると考えていた。両親や妹のような人をこれ以上出したくないと願い、石積みの技を磨き続ける。秀吉が病死し、戦乱の気配が近づく中、匡介は京極高次(きょうごくたかつぐ)より琵琶湖畔にある大津城の石垣の改修を任される。一方、そこを攻めようとしている毛利元康は、国友衆(くにともしゅう)に鉄砲作りを依頼した。「至高の矛」たる鉄砲を作って皆に恐怖を植え付けることこそ、戦の抑止力になると信じる国友衆の次期頭目・彦九郎(げんくろう)は、「飛田屋を叩き潰す」と宣言する。大軍に囲まれ絶体絶命の大津城を舞台に、宿命の対決が幕を開ける――。どんな攻めをも、はね返す石垣。どんな守りをも、打ち破る鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!
APPLE BOOKSのレビュー
第166回直木賞に輝いた歴史小説。天下分け目の戦いと呼ばれた関ケ原の戦いにおいて、東軍となった京極高次が琵琶湖のほとりで西軍を足止めした“大津城の戦い”を舞台とする。主人公の一人は、城の石垣造りを生業とする穴太衆に拾われた孤児。もう一人の主人公で、そのライバルとなるのが、鉄砲造りを営む国友衆の次期頭領。武将同士の戦いが中心となる戦国時代にあって、石垣造りや鉄砲造りといった合戦の土台を担う職能集団にスポットを当てたのが斬新だ。同じ泰平の世を目指しながらも敵味方に分かれてしまうことや、平和のために鉄砲や城を造ることなど、動乱の時代における数々の矛盾が浮かび上がる。2人の主人公はもちろん、対峙(たいじ)する大名から家臣、兵士、庶民まで、自らの信念のために戦う人々の思いが胸を打つ。歴史的な背景は史実に沿いつつ、職人たちの技術とプライドを克明に描き、攻守両面から見た攻城戦の描写も臨場感たっぷり。560ページに及ぶ大作ながら、エンターテインメント性に富んだ筆致で終始心をつかむ。
カスタマーレビュー
面白かった!
リズムが良いので一気に読めました。穴太の石積みのこと、大津城の攻防が映像で蘇るようでした。是非映画化してほしいです。