大河の一滴
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- ¥490
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発行者による作品情報
どんなに前向きに生きようとも、誰しもふとした折に、心が萎えることがある。だが本来、人間の一生とは、苦しみと絶望の連続である。そう〝覚悟〟するところからすべては開けるのだ――。究極のマイナス思考から出発したブッダや親鸞の教え、平壌で敗戦を迎えた自身の経験からたどりついた究極の人生論。不安と混迷の時代を予言した恐るべき名著が、今あざやかに蘇る。〈心の内戦〉に疲れたすべての現代人へ贈る、強く生き抜くためのメッセージ。
APPLE BOOKSのレビュー
数々のベストセラー小説を生み、名エッセイストとしても知られる五木寛之による人生論。書き下ろしの「人はみな大河の一滴」をはじめ、ラジオ番組での語りを再録した「ラジオ深夜一夜物語」などを収録する。前向きに生きることは悪いことではない。しかし、ただプラス思考だけで生きていくことはできない。人生は苦しみと絶望の連続であると考えれば、心がなえるときがあっても当然のこと。光があれば影が、プラスがあればマイナスが、そして生があれば必ず死がある。両極のものが混ざり合ったところに生命の本質があるのだ。人生はつらいものだという覚悟から始めるしかない。植民地で敗戦を迎え、引揚者として生き抜いた経験からたどり着いた死生観と人生哲学。1998年の初版以来、永きにわたって読み継がれるロングセラーで、先行きの見えない混迷の時代に、その言葉はよりいっそう心に響く。泣きながら生まれてきた人間が笑いながら死んでいくために、勇気を与えてくれる希望の書といえるだろう。生きづらさを感じているようなときに読めば、ふっと心が軽くなるはずだ。