天体嗜好症 一千一秒物語
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3.5 • 2件の評価
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- ¥1,300
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発行者による作品情報
「一千一秒物語」と「天体嗜好症」の綺羅星ファンタジーに加え、宇宙論、ヒコーキへの憧憬などタルホ・コスモロジーのエッセンスを一冊に。恩田陸、長野まゆみ、星野智幸各氏絶賛シリーズ第三弾!
APPLE BOOKSのレビュー
大正から昭和にかけて文学界で活躍し、三島由紀夫をはじめ、多くの小説家や評論家がその才能を認めた稲垣足穂の作品集「天体嗜好症 一千一秒物語」。代表作である表題の短編集のほか、足穂作品では欠かせない要素となる"宇宙"や"飛行機"への想いを綴ったエッセイを収録し、著者の魅力が凝縮された一冊となっている。突出しているのは、ファンタジーと現実を鮮やかに融合させた掌編の数々。路上で流星とケンカをする男の話や、月をポケットに入れて歩く人のエピソードなど、イマジネーションを刺激するシーンや描写は驚きとロマンに満ち、シュールでありながら強く心を引かれる。無国籍な世界観や、「A TWILIGHT EPISODE」といった洒落た英語タイトルなど、大正時代の文学作品においても異彩を放つモダンで自由な空気感も、時代を超えて読者を魅了する理由の一つ。後世の作家や前衛芸術家たちにも影響を与えた、独自性のある斬新な言語感覚を味わってほしい。