天使の跳躍
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5.0 • 2件の評価
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- ¥2,000
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発行者による作品情報
「神に愛された天才」vs「人に愛された中年の星」
知られざる将棋のタイトル戦を舞台に繰り広げられる、感動の人間ドラマ。
恋愛小説の金字塔を立てた著者が開いた、新境地。
40歳までタイトルを獲れなかった棋士は、引退まで無冠に終わる――。
それが才能と加齢による限界がもたらす、将棋界の残酷な歴史。
田中一義は46歳。かつて5度もタイトル挑戦に敗れ、
あと一歩で栄冠に届かなかった「悲運の棋士」。
それでも諦めずにきた彼に奇跡が微笑み、
念願のタイトル挑戦権を手に入れた。
だが迎え撃つ相手は「令和の王」――源大河八冠。
まだ一度もタイトル戦で敗れたことのない、全盛期の若き天才。
それは誰もが絶望する、中年棋士のラストチャンスだった。
家族と戦友、元天才の弟子との絆、初恋と、青春の残光……
これまでの人生のすべてを星のごとく燃焼させる一義は、
神の子に届くのか。
熾烈な才能の世界と家族愛をみごとに描いた傑作。
APPLE BOOKSのレビュー
みずみずしい青春小説で若者から支持を得ている七月隆文。ライトノベル出身で、大ヒット作『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』など一般文芸においてもその筆力を遺憾なく発揮している注目の存在だ。そんな氏の新境地といえる作品が、棋士の対局を描いた本作だ。46歳の田中一義は、聖王戦本戦トーナメントで優勝し、悲願の初タイトル挑戦権を手に入れる。だが、相手は史上最年少デビューを飾り、数々の記録を塗り替えてきた若き天才、源大河八冠。これまで5度もタイトルに挑戦し、そのすべてで敗れた非運の棋士、一義の勝機はなきに等しかったが…。有名な棋士をモデルにしているので、将棋好きの方は思わずにやりとさせられる。一方で、ボクシングにも通じる一手の緊張感がスリリングな対局や、戦友や弟子たちとの交流、家族愛を描いた心温まる人間ドラマには、将棋を知らない人をも引きつける力がある。また、この作品との出会いによって、将棋の世界に魅了される読者も少なくないだろう。初恋の相手で将棋の天才だった百香との、将棋盤を使わず頭の中で将棋を指す別れのシーンほか、恋愛小説の名手でもある著者ならではの美しく、“胸キュン”描写も印象に残る。