天平の甍
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3.9 • 18件の評価
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- ¥740
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発行者による作品情報
天平の昔、荒れ狂う大海を越えて唐に留学した若い僧たちがあった。故国の便りもなく、無事な生還も期しがたい彼ら――在唐二十年、放浪の果て、高僧鑒真を伴って普照はただひとり故国の土を踏んだ……。鑒真来朝という日本古代史上の大きな事実をもとに、極限に挑み、木の葉のように翻弄される僧たちの運命を、永遠の相の下に鮮明なイメージとして定着させた画期的な歴史小説。
APPLE BOOKSのレビュー
奈良時代、遣唐使として命懸けで海を渡った留学僧たちの壮大な物語。唐の高僧、鑒真(鑑真)を日本に招いた実在の僧侶である普照と栄叡を軸に、20年という歳月を唐で過ごし、故国へ帰還する日を待ち望む遣唐使と僧侶たちの姿を描く。おおらかな栄叡と、考え込みがちな普照という好対照な2人に加え、それ以外の登場人物も個性的。そして5度も失敗を重ね、失明しながらも日本を目指した鑒真の熱意を支えたのは、正しい仏教の教えを日本に伝えてほしいという留学僧たちの熱意があったからこそ。入念な取材と時代考証に著者ならではのイマジネーションを加え、日本の仏教黎明期を臨場感たっぷりに描く。どんどん読み進められる割にスケールが壮大で、大長編を読み終えたかのような読後感。1957年の初版以来、説明不要の歴史小説の傑作として読み継がれてきた。反響も大きく、1980年代に映画化されたほか、本書により鑒真(鑑真)の功績が再認識され、中国でもドラマやオペラが製作されたほど。大陸を舞台にした歴史小説は、後に著者の代表ジャンルともなった。