女の子の背骨
-
- ¥1,800
-
- ¥1,800
発行者による作品情報
『ハンチバック』を超える衝撃の第二小説集
芥川賞受賞作『ハンチバック』を超える衝撃の第二小説集!
「何でもいいから何かを撃ち殺したい」
難病と生きる身体から放たれる言葉が現代を撃つ。
「おねえちゃまへ。元気ですか」
筋肉の難病を患う主人公ガゼルと、同じ病気を持つ姉との関係を描く表題作に、性差別主義的な哲学者を信奉する女子大学院生が三島由紀夫原作のAVに出ようとする「オフィーリア23号」を併録。
APPLE BOOKSのレビュー
デビュー作『ハンチバック』で芥川賞に輝いた市川沙央の2作目となる小説集。表題作『女の子の背骨』の主人公ガゼルは筋肉の難病を患っているが、彼女にはより重篤な病で寝たきりの姉がいた。自力ではほとんど動くことのできない姉と自分を比べ、“できる”自分を意識せずにはいられないガゼル。そこに生まれる罪悪感や優越感が、難病を抱えて生きる彼女の葛藤を浮き彫りにしていく。『ハンチバック』と同様に、障がいのある作者自身の思念も投影され、自由を奪われた身体と命を、明日へとつなげていく彼女たちの運命が、重く胸に迫る。『オフィーリア23号』の主人公は、性差別的な哲学者に心酔する女子大学院生。彼女は三島由紀夫の『憂国』を原作にしたポルノ映画に出演し、“女は存在しない”という哲学者の主張を自ら証明しようとするのだった。ミソジニーと暴力が支配する家庭でゆがんだ女性観を育んできた主人公の肉体と精神。その苦難に満ちた道程が、古典文学や哲学をモチーフとしながらシャープに刻まれていく。果たして彼女は“女の存在”を見いだすことができるのか。その問いは読者一人一人にも投げかけられる。