宿借りの星
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- ¥1,600
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発行者による作品情報
その惑星では、かつて人類を滅ぼした異形の殺戮生物たちが、縄張りのような国を築いて暮らしていた。幼馴染を殺害する罪を犯して祖国のヌトロガを追われたマガンダラは、放浪の末に辿り着いた土地で、滅ぼしたはずの“人間”たちによる壮大かつ恐ろしい企みを知ることとなる。それは惑星の運命を揺るがしかねないものだった。マガンダラは異種族の道連れたちとともに、再び足を踏み入れれば即処刑と言い渡されている祖国への潜入を試みる。日本SF大賞受賞作。/解説=円城塔/※『宿借りの星』の電子版では、電子書籍端末で見やすいようレイアウトや絵柄に手を加えたため、紙版とは異なる箇所があります。ご了承ください。
APPLE BOOKSのレビュー
「皆勤の徒」で第34回日本SF大賞を受賞した酉島伝法の初長編SF作品「宿借りの星」。異形の生物との争いの末、人間が絶滅した惑星が舞台。友人を殺害した罪で国を追放され、放浪の身となった主人公のマガンダラは、滅ぼされた人間による"企み"がいまだに続いていることを知り、これを阻止しようと奔走する。卑徒(人)や倶仁(国)など、造語や旧字体が飛び交う独創的な言語感覚に基づく濃密な文章、そして著者自らが手掛けるユニークな挿絵が織り成す、奇想天外な世界観が本作の魅力。緻密な設定を持った物語の全体像が明らかになるにつれ、異形の生物の視点から見た"人間の本質"が描き出されていく。いつかそんな未来が来るのではないかと思わせるリアリティと、痛烈なメッセージを持った作品。