屋根裏の散歩者
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4.0 • 5件の評価
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発行者による作品情報
明智小五郎シリーズの5作目にあたる短篇小説。探偵小説雑誌『新青年』(博文館)の1925(大正14)年8月号に掲載された。
定職に就かず、退屈な日々を送る郷田三郎は引っ越したばかりの下宿で、偶然に屋根裏への入口を見つける。その日から、郷田の「屋根裏の散歩」が始まった。
天井裏から覗き見る他人の生活にすっかり夢中になった郷田は、ある日、節穴から毒薬を落とすことで住人の殺人を計画する。自殺として片づけられるかに思われた事件に、明智小五郎が明敏な推察力で真相解明へと乗り出していく。
乱歩が自宅の屋根裏に入り込んで徘徊した経験から着想を得たと言われる。天井の節穴を利用した毒殺のトリックに論理的な欠陥があるという指摘がありつつも、文芸評論家の平林初之輔が「あんな空想を描いた人間は、おそらく日本にはなかろう」と絶賛した着想のユニークさにより、明智小五郎シリーズの代表作として数多く映像化もされている。
この作品には、昨今では不適切として受け取られる可能性のある表現が含まれますが、当時の時代背景、表現およびオリジナリティを尊重し、そのままの形で作品を公開します。