帰還 ゲド戦記4

さいはての島から帰還したゲドと、第2巻に登場しかつてはアチュアンの大巫女だったテナー、そし不運な境遇から半身火傷を負った少女テルーの物語。

前3巻とは異なり、成すべき大義（目的）に向けた旅ではなく、どこにでもある庶民の生活における正と負の側面を、物語における弱者とされる女性の代表としてテナーが、虐待された幼児としてテルーが、最盛期を通り過ぎ無力となった老人としてゲドを通して描かれる。

過去作とは一転し、現実世界で起こる強者と弱者の生々しい権力関係が示され、SFファンタジーとして空想する高揚感は非常に少ない展開となり、暗い展開が印象に強く残るので好みがはっきり別れる作品になったように思います。

シリーズとして最後まで読みたいと思いますが、この4巻での展開が次の5、6巻へどう続いてくのか気になります。