影の車
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4.5 • 4 Ratings
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Publisher Description
仮眠から目覚めると、私の横に健一がいた。その手に出刃庖丁が握られている。私は危うく声を上げかけた。……夫を亡くし保険の集金人をする小磯泰子と二十年振りで出会った私は、妻の眼を盗んで家に出入りし、密かな逢瀬を楽しむようになった。が、その一人息子で6歳の健一は何故か私に親しまず、その異常な挙動に私は自分への殺意を感じた。少年の殺意。――私にはそれを否定し切れぬ過去があった。「潜在光景」ほか「典雅な姉弟」「万葉翡翠」「鉢植えを買う女」「薄化粧の男」「確証」「田舎医師」を併載。眼に見えぬ運命の糸に操られ、破滅へと導かれる男女を描く連作推理集。
Customer Reviews
すな8
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なんとも言えない味わい
その昔、私が中学生の時に親戚の叔父さんからもらった本。その時は単行本だったけれども、とにかくその後も何度も読み返した。
文庫版も買い、そして電子ブック版も買ってしまう。電子ブックのいいところは、いつでも思いついた時に読めるという点だ。
この短編集のうち、一番好きなのは「万葉翡翠」である。この作品だけで10回近く読み返している。万葉集の中の一つの歌を題材にして、知的なミステリーを構成している。舞台となった地域に実際に行ってみたりもした。
小説マイベスト10の一つだ。