恋じゃねえから(1)
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- ¥760
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発行者による作品情報
40歳の主婦・茜は、ある日、中学時代に通った学習塾の講師・今井が彫刻家になったことを知る。彼が発表した「少女像」は、かつての親友・紫の姿によく似ていた。蘇る26年前の記憶、封印していた1枚の写真。そして私の犯した罪と願い。過去をひもとく現在の3人の運命が動き出す――。紙+電子累計135万部を突破した『1122(いいふうふ)』の渡辺ペコが描く、創作と性加害をめぐる問題作!!
APPLE BOOKSのレビュー
恋という名の暴力を巡り、過去に向き合う40代女性たちを描く社会派ドラマ。「御の字の生活」を送る主婦の茜には、中学時代の親友である紫と塾講師の関係や、彼女からのヘルプサインに気付きつつ、見て見ぬふりをしていたことに後悔があった。元塾講師の今井が彫刻家になったことを知った茜は、個展で紫の面影を持つ裸婦像を目にし、彼女への謝罪を決意する。『1122』の渡辺ペコが、「恋」や「芸術」を大義に掲げた性加害を暴き出す問題作。性加害がいかに被害者を苦しめるかが丁寧な筆致で描かれ、息をのむ。年齢を理由に開き直った態度を取る友人にズレを感じる茜の心理描写もリアルで、その真摯(しんし)な思いにも共感を覚えるだろう。心の中に隠してしまいがちな本音に向き合い、声を上げていこうと勇気が湧いてくる。