愛すべき娘た‪ち‬

APPLE BOOKSのレビュー

“娘＝女性”をテーマに、さまざまな視点から女性の生き方を描くオムニバス作品。母と娘の関係は、どこか似た経験を持つ者同士だからこそ難しい。理想や規範を押し付け合ったり、世代による価値観のズレがあったり、互いを重ね過ぎてしまったり。その複雑な関係性に触れながら、一筋縄ではいかない女たちの多様な人生模様を描く。そして女性たちと共に生きる男性たちもまた、その時代と共に変化を経験しながら生きていることも描写されている。よしながふみの作品らしく、どの女性も自分自身でしっかり地に足をつけて人生を歩んでいくところに、読後、静かな勇気をもらえる。