愛の人 やなせたかし
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- ¥850
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発行者による作品情報
朝ドラ主人公のモデル、やなせたかし
アンパンマンを生み、「詩とメルヘン」編集長として多くの才能を育てた愛と献身の人生を、数々の名作詩とともに愛弟子が描く。
文庫化に際し『優しいライオン やなせたかし先生からの贈り物』を改題、書下ろし掌篇小説「シークレット・ラブ」を収録。解説:永田萠
「君はなんのために生まれたか」
「ぼくは『誌とメルヘン』を
編集するために
この世に生まれました
これが僕の仕事です」
1987年12月臨時増刊号「詩とメルヘンの15年」より
先生は、笑顔で人にパンを分け与えながら、胸の奥に、まるで海のような悲しみを抱きつづけた詩人だった。――やなせたかしが思いを込めて編集を続けた「詩とメルヘン」の”卒業生”が、恩師の作品と人生を貫く「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」という思想を名作詩の数々とともにひも解く感動作。
【内容】
プロローグ----やなせ先生、ありがとう
第一章 あこがれよ なかよくしよう----裏町ぐらしの下積み時代
第二章 さびしいひとをなぐさめたい----「詩とメルヘン」の創刊
第三章 死んでもひとをよろこばせたい-----絵本『やさしいライオン』
第四章 愛がなければ生きられない----アンパンマンの奇跡の始まり
第五章 しあわせよ カタツムリにのって----アンパンマンワールドの魅力
第六章 戦場にも花は咲いていた----『おとうとものがたり』
第七章 今日はすぐに思い出になる-----最愛の人、暢さんの死
第八章 書いては消し、消しては書く----「いい子いい子」
第九章 かわりのメダカはいないんだ----なにが君のしあわせ
第十章 夢の中にも夢はある----『詩とメルヘン』の三十年と幻の生前葬
あとがきにかえて----この人生が好き
解説 永田 萠
シークレット・ラブ----文庫版のための書き下ろし掌篇小説
※電子版では、イラスト・写真の一部をカラーで収録しています。
APPLE BOOKSのレビュー
『アンパンマン』の生みの親、やなせたかしと長い間交流のあった作家、小手鞠るい(本名:川滝かおり)が、やなせとの宝物のような思い出を通して彼の人となりを描いた作品を、文庫化に当たって加筆、改題した『愛の人 やなせたかし』。作者がやなせの詩集『愛する歌 第二集』と出会ったのは、中学1年生の時だった。その時彼女はまだ12年しか生きていなかったが、心と魂を強く揺さぶられたという。それから時が流れ、18歳の春に京都の書店で引き寄せられるように出会ったのが『詩とメルヘン』。無名の詩人や画家をすくい上げ、光を当てようとしたやなせの雑誌だった。そこへ何度も詩を投稿していた作者は、憧れのやなせと実際に会う機会を得た時から、言葉と共に生きる道を進み始める。彼女の人生のさまざまな瞬間に寄り添ってくれたやなせの詩、そして彼が掛けてくれた言葉には愛と優しさがあふれている。『アンパンマン』の作家としてではなく、温かさの中に悲しみが宿る詩を生み出す天性の詩人としてのやなせの生きざまも本作を通して垣間見られる。心にすっと落ちてくるような、つぶやきや、ささやきとして響くやなせの詩がたくさん詰まったこの一冊を読めば、彼の詩人としての作品にもっと触れたくなるだろう。