改良
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3.9 • 16件の評価
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- ¥570
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発行者による作品情報
女になりたいのではない、「私」でありたい――ゆるやかな絶望を生きる男が人生で唯一望んだのは、美しくなることだった。平成生まれ初の芥川賞作家、鮮烈のデビュー作。第56回文藝賞受賞作。
APPLE BOOKSのレビュー
“美しさ”を追い求める男性主人公を描いた衝撃作『改良』。2020年に『破局』で芥川龍之介賞を受賞した遠野遥のデビュー作である。小学校のころに、同性からセクシャルハラスメントを受けた私は、自らの内面に違和感を覚えながら成長してゆく。女性と男性とで、かくあるべき姿が違うことに疑問を持ちながら、“美しくなりたい”という望みを募らせた私は男子大学生として日常を過ごしながら、女装やメイクの研究を重ねる日々を送っていた。しかし実際に自分が女装した姿を誰かに見てほしい、その美しさを認めてもらいたい、と願った先に待っていたのは非情なまでの暴力的な不条理だった…。男性としての性欲を持ちながら、女性になりたいわけでも、男性に好かれたいわけでもなく、ただひたすらに“美しさ”へ執着した主人公の姿はまさに『改良』といえる。自分を冷めた目で観察しているかのような淡々とした語り口でつづられた強烈な物語は、違和感や複雑な感情が心にこびりついて離れない。