教育虐待 ―子供を壊す「教育熱心」な親たち 1‪巻‬

APPLE BOOKSのレビュー

過熱する中学受験ブームをテーマに、その裏側にある現代社会の闇を取り上げる骨太なジャーナリズム作品。編集プロダクション、エデュケーション企画の社員である南 麦（みなみ むぎ）は、受験勉強の低年齢化が引き起こす「教育虐待」について取材をすることに。名門校に合格した兄と比較され、教育熱心な両親から人格を否定され続けた妹の悲劇や、エリート志向の進学塾による行き過ぎたビジネス、親同士のトラブルなど、この作品が鋭くあぶり出すさまざまな問題は決してフィクションではなく、子どもたちの日常の中に確実に存在している。果たして教育とは、誰のためのものなのか。そんな普遍的な問いについて、あらためて考えるきっかけを作ってくれる一冊だ。