数字であそぼ。(1‪)‬

APPLE BOOKSのレビュー

コミカルな作風と独創的な設定に定評のある絹田村子が、理系大学生の青春を描く「数字であそぼ。」。幼いころから天才的な記憶力を誇り、京都にある難関大学の理学部に合格した横辺建己（よこべたてき）。意気揚々と入学したものの、初日の講義内容が何ひとつ理解できず、ショックのあまり2年も休学してしまうことに。人生初の挫折から立ち直れないまま再びキャンパスに戻った横辺は、他の留年仲間や型破りな教授と出会い、定理や公式に頼らない学問としての数学に向き合うことに。今更ながら数学の基礎を友達に教えてもらい、考えながら理解を深めることの重要さを学んでいく。頭脳明晰だが世間から少しずれた主人公を筆頭に、登場するのはみな風変わりでマイペースな人間ばかり。彼らのドタバタなキャンパスライフがリアルなタッチで描かれ、コミカルながら上品な雰囲気を醸し出す。愉快なエピソードや会話に沿って問題が紹介されていて、数学に苦手意識を持つ人でも怖がる必要はない、タイトル通りの楽しい一作。