



新版 きけ わだつみのこえ-日本戦没学生の手記
-
-
5.0 • 1件の評価
-
-
- ¥1,100
-
- ¥1,100
発行者による作品情報
酷薄な状況の中で、最後まで鋭敏な魂と明晰な知性を失うまいと努め、祖国と愛する者の未来を憂いながら死んでいった学徒兵たち。一九四九年の刊行以来、無数の読者の心をとらえ続けてきた戦没学生たちの手記を、戦後五○年を機にあらためて原点に立ちかえって見直し、新しい世代に読みつがれていく決定版として刊行する。
APPLE BOOKSのレビュー
1949年の初版刊行以来、長きにわたり読み続けられている、第2次世界大戦で戦没した学徒兵74人の手記を集めた遺稿集。特攻出撃前夜に書かれ、自由主義者を称しながら突入戦死した者の所感から、敗戦後に戦犯として刑死した者まで。309人の遺族から寄せられ、選ばれた遺稿は、日中戦争期、アジア・太平洋戦争期、敗戦の時期に分けられ、おおむね時系列に並ぶことから、戦況の変化と学徒たちの心の移ろいが読み取れるが、各人の思いはそれぞれ。父母や弟妹への惜別の念、志半ばで学業を諦め、文字に飢える無念、人間性を奪う軍隊生活への不信、活字に◯印を付して恋人への遺書とした遺本、戦地で詠まれた短歌、少年の頃に育てた小鳥の哀れな生命の思い出…。大学などの高等教育機関への進学率が3%という時代に、敗退を繰り返す日本軍の戦況の悪化により、一部を除く大学、高等専門学校在学生の徴兵猶予の停止が決定され、学徒出陣となった。多くの未来ある若者たちが、20代で非業の死を遂げた。「わだつみ」とは日本の古語で「海」を意味する言葉である。生命の源である海から聞こえる、戦死者たちの嘆きと怒りと声なき声に耳を澄ましながら、平和への希求として読み継ぐべき必読の書。