星くずの殺人
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- ¥1,800
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発行者による作品情報
江戸川乱歩賞受賞第一作
無重力に浮かぶ首吊り死体
死を呼ぶ宇宙ツアーが始まった
令和のディクスン・カー(候補)が打ち上げる“天上”最高のゲーム! 法月綸太郎
地球を見下ろす、宇宙的ホワイダニットに震えた。 大森望
完全民間宇宙旅行のモニターツアーで、念願の宇宙ホテル『星くず』についた途端見つかった死体。それも無重力空間で首吊り状態だった。添乗員の土師(はせ)穂稀(ほまれ)は、会社の指示に従いツアーの続行を決めるが――。
一癖も二癖もある乗客、失われる通信設備、逃げ出すホテルスタッフ。さらには第二の殺人まで起きてしまう。帰還を試みようとすると、地上からあるメッセージが届き、それすら困難に。『星くず』は宇宙に漂う巨大密室と化したのだった。
APPLE BOOKSのレビュー
南宋が舞台の武侠小説『老虎残夢』でデビューした桃野雑派が今作で描くのは、宇宙を舞台にしたSFミステリー。かつて大富豪の特権だった宇宙旅行が1人3,000万円の格安ツアーに。モニターとして選ばれた6名の民間人と機長の伊東、副機長兼添乗員の土師穂希(はせほまれ)は宇宙ホテル「星くず」へ念願の初フライトを果たすが、目的地に到着早々、伊東が謎の死を迎えてしまう。無重力空間での首つりという、事故とも他殺とも判断のつかない奇妙な死に困惑した土師は、会社の指示通りツアーの続行を決める。ところが通信機能のダウンにホテルスタッフたちの逃亡、地球への帰還を巡る客たちの対立と、次々とトラブルが押し寄せる。その上、八方ふさがりの土師が決死の覚悟でホテルの外に出て受信したのは、会社からの「危険! 戻るな」というメッセージだった。一連の出来事は事故なのか、事件なのか。巨大な密室に閉じ込められてしまったツアー一行。やがて明かされる壮大なトリックからは、宇宙の果てしない雄大さと、そんなところにまで行っても変えられない人間の矮小(わいしょう)さを感じさせる。