星待ち花の揺れる庭 星待ち花の揺れる庭

星待ち花の揺れる‪庭‬

    • ¥450
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発行者による作品情報

昼は男性、夜は女性。艶かしくも美しいブロンドの主(あるじ)

第三の目を持つ執事。

角を持つ給仕の女性。

黒猫に変化する庭師の少年。


……ロロが買われていったのは人外たちの住む世界だった。

異世界で繰り広げられるロロをめぐるファンタジー長編。


*****


「さっきもいったけど、あたしはサムカ。本性は猛るもの」

「……はぁ」

なんのことか、とロロが間抜けな返答を返すと、サムカが帽子を取った。

彼女は頭部に一対の大きな白い角を持っていた。

赤毛をかき分けて生える角は、頭部に沿って湾曲している。

彼女の立派な角をロロは凝視し、硬直した。

「よろしく。……冷めないうちに、スープ飲んじゃいなさいね。おいしいよ」

驚いてしまい、ロロは反応を返せない。

少年が咳払いをした。

「俺、コルデワ。雑用だよ。たいてい庭で植木いじりやってる。本性は探るもの」

ロロは食器を取り落としそうになった。

着席していたコルデワが、紙を丸めるようにくしゃりと消えたのだ。なにごとかと問う言葉を探していると、彼のいた席に金目の黒猫が現われ、テーブルに前足をかけた。

「わからないことがあったら、なんでも訊いてくれよ。力になるから」

艶やかな毛並みの黒猫が、コルデワの声音でしゃべる。ぱくりと開いた口内の赤は、感心するほど鮮やかだ。

ロロはベルを見る。人間に見えるベルに、すがりたい気持ちだった。

「私の本性は裁くもの」

いって、ベルは手のひらでひたいをすり上げる。

するとそこに黒い瞳が出現し、何度か瞬いて消えた。

追いつめられた気分で、ロロはプールを見た。

男か女かわからない相手は、まなじりを下げると大口を開ける。

プールは見事な赤い炎を吐いた。

俺、よく気絶しないな──目にするすべてを、ロロは遠くに感じた。

「歓迎するよ、ロロ」

ジャンル
SF/ファンタジー
発売日
2014年
8月5日
言語
JA
日本語
ページ数
221
ページ
発行者
Doncha.net
販売元
tetsuaki iida
サイズ
1.2
MB
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