時が滲む朝
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3.8 • 17件の評価
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発行者による作品情報
中国の小さな村に生まれた梁浩遠(リャン・ハウユェン)と謝志強(シェー・ツェーチャン)。大きな志を抱いて大学に進学した2人を、1989年の天安門事件が待ち受ける──。“我愛中国”を合言葉に中国を民主化しようと努力する貧しい学生たちの苦悩と挫折、そしてその後の人生。北京五輪前夜までの等身大の中国人を描ききった瑞々しい傑作。日本語を母語としない作家として、初めて芥川賞を受賞した楊逸(ヤン・イー)の代表作!
APPLE BOOKSのレビュー
第139回(2008年上半期)芥川賞受賞作。民主化運動に揺れた中国を舞台に、若者たちの成長と挫折を描いた青春小説。1988年、名門大学にそろって入学した梁浩遠と謝志強。高校からの親友である2人は学友や教授らとの出会いを経て、気運が高まりつつあった民主化運動に身を投じる。やがて天安門事件に直面し、激しい弾圧と逮捕、亡命を経て仲間たちは散り散りになっていく。この物語の後世に生きる現在の読者は、彼らが突き進んだ先の悲劇を報道写真や映像、書物を通じて知っている。本作は天安門事件の内側にいた学生たちの等身大の日々を投影することで、その歴史に温かな血を巡らせることに成功している。崇高な理念を掲げた梁浩遠らが若く、未熟で、時に浅はかだったことも描かれている。理想と現実のはざまで苦悩する彼らは、たまたま国家規模の歴史の転換点に立った者たちだったが、その苦悩は多くの普通の若者にとっても普遍的な命題であり、共感できるものであるはずだ。作者の楊 逸は中国のハルビン出身、日本語以外の言語を母国語とする作家として初めての芥川賞受賞者となった。